2014年2月17日

「道化師の恋」感想



 別々の作品なのだけれど共通の登場人物が出て来るという、同じ世界を舞台にしているからこそのギミックみたいなものが好きです。なので目白界隈の、職業や血縁から関係しているとても狭い世間を詰め込んでいる目白四部作が好きです。
 「道化師の恋」が特に好きなのは主人公・善彦に好感が持てるからで、彼は他の目白小説の主役達(というかほとんどの登場人物)と違って映画や文学への知識が「普通」のレベルであり、他の登場人物達がああでもないこうでもないと会話しているのを傍で見聞きしながら、彼らが映画を観たとか本を読んだとかいうことで大騒ぎしているのを不思議がります。決して知識をひけらかすことはしないし、おもしろいと思った映画を好きと思える素直なところが良いと思いました。一連のシリーズの最後にそれまでの主人公にカウンターをしかけるようなこういった異なるタイプの人物が主人公になっているところもおもしろいです。善彦は映画や文学に詳しくないけれど、それでも他の人物達とは違う経験をしているので、物語全体に知識対経験の構図が浮かび上がってくるようにも感じます。