2016年3月25日

「スティーブ・ジョブズ」(2015)感想


 基本的に「娘との関係」を軸にシンプルな展開なのだけれど、ウォルター・アイザックソンによる伝記で特に大事なところもちゃんと拾われていて、うまくまとめられているのが良い。実の父親とひそかに会っていたり(父親はジョブズが息子だとは知らないというのがまたすごい話なのだが)、共同創業者ウォズニアック(セス・ローゲンがすごくはまってる)との確執といったおなじみのネタがバランスよく盛り込まれている。自身がペプシから引き抜いて社長に雇ったジョン・スカリーからアップルを追われてしまうといったエピソードも印象的なのだけれど、とにかくそういったいろいろな出来事が綺麗に包括されていて、「娘」という線で一本につながっているように見える。いろいろな要素が盛り込まれながらも、視点のばらけというか、詰め込み過ぎな印象は全然無いのだ。点と点がやがて線でつながるという話もジョブズが生前繰り返して語ったことで(いろいろな経験が線でつながっていずれ役に立つとか確かそんな話だったと思う)、彼の人生もまた複雑そうで波乱に満ちているように見えながらも、実はシンプルな線でつながっていたわけだ。
 実はジョブズよりジョン・スカリーという人物のほうが興味があったのだけれど、この役は「オデッセイ」でNASA長官役だったジェフ・ダニエルズが演じている。「オデッセイ」と「ジョブズ」は続けて観たのだけれど、どちらの役も堅実そうな中年のおじさんという感じで好き。スカリーはジョブズから「一生砂糖水を売って生きるのか?」というまたおなじみの挑発的な言葉でアップルに誘われたらしいのだけれど、大きなお世話だよね。砂糖水に人生捧げたって、ぼくは良いと思うけれど。美味しいし。