2017年10月23日

『ブレードランナー 2049』記者会見



 まず今朝は電車の中よりも電車に乗るまでが大変だった。階段を登るところからまず列をなして一歩ずつ進まねばならなかった。一段一段登ってるあいだ、あれ、これはもしかしたら間に合わないのでは、と思ったりもしたのだが、時間の感じ方というのはおもしろいもので2時間くらいに感じられた移動時間は、実際には40分くらいで、普通に間に合った。着いたぞチューイ、って感じ。

 前作の舞台だった2019年に現実が追いつこうとしている今、『ブレードランナー』の世界は未来というよりはパラレル・ワールドだと、ヴィルヌーヴ監督は語った。なるほどと思った。具体的な年代を提示して未来を描くSF作品の悩みどころは、その設定年代に現実が追いついてしまうことだ。当然ながら現実は作品で描かれたような世界にならない。すると未来を描いていたはずのその作品は急に色あせて、古びて、悪い場合には陳腐化さえしてしまう。
 「別の2019年」から30年が経った世界である「別の2049年」。それはあくまでも現実の未来ではなく、『ブレードランナー』の世界における未来なのだと監督は強調する。そこにはスティーブ・ジョブズはいないらしい。その代わりに、厳しい天候や環境に耐えるための技術が進歩し、建物や衣類、乗り物に生かされている。そのあたりの世界観の考え方が非常に興味をそそられた。
 
 話を聴きながら、シルヴィア・フークスとアナ・デ・アルマスの演じたキャラクターについて思うところが出て来たので書き留めておきたいのだけれど、よく考えるとかなりストーリーに絡むし、あまり不必要に内容に触れるべきではないので、公開後にまた。ふたりの女優が演じるのはどちらも謎めいた役なので、会見でもあまりそのあたりには触れられないのだよね。それでももう少しふたりの話を聴きたかったな。
 シルヴィア・フークスはブロンドなので劇中とは少し違う印象だったけれど、それでもその眼つきからは劇中で見せた刺すような鋭い視線を思い起こさずにはいられない。役柄と同じような服を着ていたのもうれしいところ。

 そしてハリソン・フォードである。
 申し訳ないけれど、デッカードである以前にやっぱりぼくにとっては密輸業者ハン・ソロである。『スター・ウォーズ』のレジェンド的主演が目の前にいる、目の前でしゃべっている、笑っている、水を飲んでいる、といった具合に感激した。うるっとした。すごい、すぐ目の前にいる、と思うと同時に、昨年亡くなったキャリー・フィッシャーのことを考えて、今日のように幸運な機会がいくらあっても彼女の姿はもう見れないのだと、そう思って余計になにかこみ上げるものがあった。
 だからというわけでもないけれど、これほどひとの顔というか様子を注視していたのも自分では珍しい。というわけでスケッチ集を作ってみた。仕草のひとつひとつが印象的だった。だんだん見ているうちに映画と現実の境目がわからなくなるほどだ(それくらい映画の中のひとという印象が強いのだろう)。そうして映画もまた現実の一部なのだと改めて知るのだった。登場する俳優も皆感情を持ったひとりの人間として生きているのだと。
 写真を撮らなかったかわりに記憶に十分に焼きついたと思う。
 それにしてもこれくらいのおじさんの顔を描くのは楽しい。しわが深いと尚更描きがいがある。


 ラベリングとして恐れ多いのだけれど、黄色くてかわいいので取っておこう。