2018年1月27日

実は通しでちゃんと観たことない映画

 結構ある。多分正直に全部列挙していくと呆れられると思う。まして今や雑誌に映画レビューの連載を持っていて毎週新作の試写に通っているような人間が、あれもこれも観たことないなんて許されるのか?と思われるかもしれない。
 でもさ、有名すぎて、お馴染みすぎて、シンボル的すぎて、ちゃんと観たことなくてももはや風景みたいになっている映画というのは多いじゃないですか。『スター・ウォーズ』にしたって多くのひとにとってはそうだと思う。あまりに有名すぎて逆に観る機会のない名画は多いのだ。


『ジュラシック・パーク』

 ひと通り最後まで観ているとは思うのだけれど、恐竜の島でパニクるという以上の細かいディティールは全然覚えていない。最近になってサミュエル・L・ジャクソンが出ていたことを知った。『最後のジェダイ』の、カジノ惑星での一連の騒ぎで、脱走して大暴れする競走馬のようなクリーチャーの接近を示す演出として、テーブルの上に置かれたグラスが振動するというシーンがあるのだけれど、あれはこの映画へのオマージュらしい。コップに入った水が揺れることで恐竜の接近を知らせるというシーンで、フルCGの恐竜が目玉である作品で、特殊効果を一切使わずに単純な小道具だけで巨大な恐竜の接近を表現するという工夫により有名なシーンらしい。覚えているわけがない。そして特定の元ネタと言えるほど特殊なシーンに思えないのだが、どうなのだろう。まあ、ローラ・ダーンが出てるからね。


『ターミネーター』4作目以外全部

 2作目すらちゃんと観たことがない。子供の頃の印象だと、明らかに2作目の放映頻度のほうが高かったので、1作目よりは観たことがある。悪いやつが警察官に化けて主人公の少年を追ってくるというのが、子供心になかなか怖かった。子供にとってはお巡りさんといえば一番わかりやすい正義の象徴で、困ったときに頼るべき存在だ。しかし、助けてくれるはずのお巡りさんが悪いやつなのだ。これは絶望しかない。そこから妄想が広がり、早くも小学生の頃から「悪を取り締まるはずの体制が悪だったらどうしよう」という子供には手に余る不安を抱えてしまい、そのまま陰気なパラノイア的人間に成長した。なんの話だっけ。
 4作目だけは何故か観たんだよね。ちゃんと全編。クリスチャン・ベイルが主人公で、ヘレナ・ボナム=カーターなんかが出ていた。ロボット兵士が人類軍の人間の服をかぶっているのが狡猾で怖かった。
 ちなみに『ロボコップ』三部作は全部観ている(このあいだリブート版も観た)。あっちのほうが好みらしい。


『もののけ姫』

 この作品に限らずジブリ作品は観たことのないもののほうが多いと思う。『となりのトトロ』も結局今に至るまで通しで観たことがない。『天空の城ラピュタ』と『紅の豚』は好きかな。
 両親の趣味じゃなかったから、というのがたぶん触れる機会のなかった要因だろうと思うけれど、別に親が興味ないものでも子供はどんどん開拓していくものだから(自分の世代だとポケモンとか)、たぶんぼく自身も興味がなかったのだろう。
 いやこれも話すと長くなるんだけど、友達の家に行くとさ、なんか急にそこのお母さんがジブリのビデオを流し始めるんだよ。それでみんなで見始めて、すごいはしゃいでるわけ。でもぼくはついていけないんだよ、知らないし。で、なんとかしてついていこうと必死に画面を追っていくんだけど、出てくるものといったらでっかいイノシシで、これが『ライオン・キング』のプンバアとは似ても似つかない気持ち悪さで(プンバアも虫をばくばく食べるから気持ち悪いと言えば気持ち悪いんだけど)、案の定ぐちゃぐちゃぐちゃーってなる。でも他のみんなは超おもしろがってるんだよ。おもしろがってるならなにも言えないし、むしろ乗れない自分がおかしいのかなと思ったものだ。
 いずれにせよファーストコンタクトが不幸だったのだろう。そこのお母さんがまずぼくのこと何故か目の敵にしてたというのが一番大きい。そうして「ジブリを観るのが健全」というような態度も気に食わなかった。そりゃぼくも大好きな『ピーウィーのプレイハウス』が健全とは思わないが。
 大人になってから、作り手の思想や絵の丁寧さを、絵を描く人間として観察できるようになるとだんだん和解(こっちが一方的に避けてきただけなんだけど)できるようになったけれど、それでも未だにあの、ぞわぞわぞわーっと動く感じが苦手だったりする。あの丁寧な作画が魅力でもあり、高く評価されるところなのだろうけれど。
 

『アラジン』

 個人的にジブリとディズニーを並列することにすごい抵抗があるんだけど、まあアニメというくくりで比較するのであればやはり自分はディズニー派の子供だったのだろう。と言うのも、幼稚園の先生にすごいディズニー好きのひとがいて、かなりの頻度でディズニー映画を観る時間があった。あそこで触れたのがかなり大きい気がする。親しみやすくデフォルメされたフォルム、滑らかな動きに楽しい音楽、派手なユーモアがよかった。のちのぼくの映像や絵の好みに多大な影響を与えていることは間違いない。あの上映会がなかったら知らなかったものも多かったんじゃないだろうか。『王様の剣』とか。王道ばかりではなく結構渋いところもチョイスされていた気がする。ネズミがカモメに乗って冒険するやつとか、なんて言ったっけ。
 で、世代的にはネオ・ルネサンス期ど真ん中なので、当然そのあたりの作品も見せられて、『アラジン』とかも観たんだけど、『美女と野獣』はすごい引き込まれて夢中になったものの、どうも『アラジン』は細かい筋書きを覚えていない。ランプの魔人がとにかくふざけていて、そのテンションに子供としてはハイになったものだけれど、どういうふうにお話が展開していったかは記憶にない。でも最終的にアラジンがジーニー自身を自由の身にしてやって終わる、みたいなところは覚えている。なので、ぼくの中ではアラジンがランプの魔人と出会って、自由にしてやる話となっている。間違っちゃあいないと思う。あ、でも悪役に飼われてるオウムとか好きだな。
 この前母に、なんで90年代のディズニーの定番を、ちょうどぴったりの時期だったのに見せてくれなかったんだと聞いたら、「『アラジン』とか『リトル・マーメイド』とか、定番すぎて逆に思いつかなかった」らしい。『101匹わんちゃん』とか『ムーラン』は見せてくれた。十分だ。


『未知との遭遇』

 これについては全く予備知識がない。R2-D2がどっかにいるんだっけ。本当にその程度。勝手に「すごく大人っぽい綺麗な『マーズ・アタック!』」みたいなイメージを持っているがどうだろうか。
 

『E.T.』

 わかった、スピルバーグの名作SFをちゃんと観ていないのだ。しかし、『E.T.』は中学の英語の授業で観た。主人公がオールド・ケナーのSWフィギュアで遊ぶシーンに大興奮してクラスメイトたちを困惑させたのを覚えている。ハロウィーンのシーンでもヨーダが出て来て大騒ぎをした。こいつはなんで肝心の宇宙人との邂逅そっちのけで違う映画の話をしているんだと思われたことだろう。
 授業で映画を見せてくれる教師というのは非常に好感が持てて、そういう機会こそ貴重だなとは思うのだけれど、いかんせん授業の時間と映画の尺はうまく合わない。ふたコマ使っても半端なところで中断してしまう。そして3コマ使う勇気までは、先生にもなかったりする。その『E.T.』上映会も結局、クライマックスを残してお開きとなった。大人たちの包囲網から自転車で逃げるところで終わりという、ほとんど生殺し状態だった気がする。そんなわけで宇宙人が故郷に帰ったかどうかを見届けずに13年が経った。ここまで来るとなんとなくそのままにしておきたくなる。
 

『風と共に去りぬ』

 これも高校の世界史の授業で、教師が映画好きということもあって視聴覚室の大きな画面で観たんだけれど、やっぱり時間が合わなくて本当に途中までしか観れなかった。そしてやっぱりちょっと普通の高校生くらいには退屈のようで皆もあまり集中していなかった。


『ローマの休日』

 このあたりになってくるともう映画というより教養みたいになっているところはあって、そういう映画は山ほどあるけど、いちばん思い浮かぶのはこれ。いつだか入ったカフェの白い壁に延々映写しているのをぼんやり観たことはあって、なんとなく内容はわかった。しかし、ぼくはどうもお店で映画が流れてると、たとえ音声がなくてもじっと見入ってしまうので向かいに座っているひとたちとの会話が疎かになってしまう。


『ティファニーで朝食を』

 本当に恥ずかしいのだが、カポーティの原作は大好きなくせに映画版をこれっぽっちも観たことがない。映画史におけるアイコニックなイメージはもちろんある。聞くところによれば全然本とは別物なところもあるらしいので、そういうこともあって観たいという欲求が弱かった。「ムーン・リバー」は良い曲だと思う。
 ちなみにヘプバーンものは『麗しのサブリナ』なら観たことがある。


『マトリックス』三部作

 申し訳ないけど群を抜いて興味がない。下手をするとトトロ以下かもしれない。子供の頃新作公開で盛り上がっていて、一作目のテレビ放映もあったけれど全然入れなかった。今観れば結構行けるのだろうか。
 『クラウド・アトラス』がすごく面白かったので、『マトリックス』もちゃんと観ればわかるのかもしれない。


『ロード・オブ・ザ・リング』及び『ホビット』シリーズ

 当方『ハリー・ポッター』派ということもあって(両方好きなひとももちろんいるだろうけれど)こちらには全然入り込めなかった。子供の頃話題のシリーズだったのでやはりテレビ放映を観る機会はあったものの、地上デジタル化以前の実家のテレビの映りが非常に悪かったり、さらに暗い画が多いこともあってわかりづらかった。同世代のティーンエイジャーたちが魔法学校で活躍する物語に夢中だった身としては、完全に現実と隔てられた世界でのやや重厚な物語はとっつきづらかった。
 とは言えそのベースはSWと同じ王道だし、当然ハリポタもまたトールキンの影響下にあると言えるので、全く興味がないわけではない。むしろトールキンの創作に対する熱意のようなものには非常に憧れる。神話を作るとはああいうことだ。
 このシリーズに限らず古典的なファンタジーに今ひとつ興味を持てずに来てしまったけれど、カートゥーン ネットワークの『アドベンチャー・タイム』を通して剣と魔法の世界の魅力をなんとなく感じつつあるので、少し触れてみたいなとは思う。その手のRPGもやったことがないからねぼくは。


『タイタニック』

 テレビでやるときはだいたい二夜連続で、序盤で潜水艦が残骸を探ったり、デカプリオが賭けかなにかに勝って(腕相撲だったような気もする)滑り込みで豪華客船に乗り込むくだりまでは観るのだけれど、子供としてはもう船が沈みはじめるまで退屈なわけ。それで他のチャンネルを観たりして、たまにチャンネルを戻しては「まだ沈んでないのか」と再びザッピングする。沈みはじめたら沈みはじめたでパニックの様子がすごく怖くて、夏休みに東京湾フェリー乗るときに氷山との衝突の可能性に怯えたりする。
 ちなみに『親指タイタニック』はちゃんと観ている。おもしろい。蜘蛛のシーンは怖かった。あ、そうだよ、それで主人公が指相撲に勝って船に乗るから、多分オリジナルも腕相撲だよきっと。


『ジョーズ』

 やっぱりユニバーサル・スタジオの目玉作品をまともに観てないんだよな。ビーチでみんながパニクるシーンとか、もげた脚が水中を漂うシーンとかはやはり覚えている。そんなおっかない映画を夏休みに入る時期にやったりするから、それから浜辺とかに遊びに行くのがとても怖かった。あとは樽のようなものを海に落としていって、それが爆発するシーンとか。樽が爆発してるのか、樽を目印になにかを撃ち込んでいるのかはわからない。
 USJのアトラクションも怖かったなあ。でもああいうアクシデントにより本来のものとは違ってしまう体のツアー型アトラクションはおもしろい。


 もっとあるんだけど、だから全部挙げていったら膨大でこいつ結局なんにも観てないじゃんということになるのでこれくらいに。いやあ、映画って本当にいっぱいありますね。